2011年02月21日

東京観劇記2011年2月

 東京で芝居を3本見てきた。
 2月19日(土)はまず座・高円寺でMODEの「マッチ売りの少女」(作別役実、演出松本修=札幌出身、MODE主宰、1996〜98年度にTPS常任演出家)。66年初演で、別役が第13回岸田國士戯曲賞を受賞した出世作だ。私も戯曲自体は読んでいたが、実際の公演を見るのは初めてだった。
 大晦日、雪の夜。初老の夫婦(福士恵二、大崎由利子)が夜のお茶の用意をしている。見知らぬ女(山田美佳)が訪れる。「私、あなたの娘です」。そして彼女の弟(中田春介)も。二人の真意は何なのか−。
 昔に読んだ劇評では、きょうだいは、あの戦争を生き延び、今は遠い昔の思い出のように暮らしている初老の夫婦を告発する存在として読み込まれていた。だが、初めて舞台化を見て、それだけではないかもしれないという印象を受けた。
 松本が劇中音楽として選んだ、ザ・ピーナッツの「心の窓にともし灯を」が実に効果的にマッチしていた。
 終演後、燐光群代表でかつてこの戯曲を取り上げた坂手洋二と松本のアフタートークがあり、二人の演出法の違いなども聞けて満足した。
 夜は東京芸術劇場で野田地図「南へ」(作・演出野田秀樹)。300年前に噴火したという無事山火山観測所に南のり平(妻夫木聡)が着任する。同じ頃、噴火口で自殺を図ったという女あまね(蒼井優)が助け出されてくる。火山観測所には近々、天皇皇后両陛下が来るらしく、所長(渡辺いっけい)以下職員らはなにかと慌ただしい−。
 野田の天皇制批判や日本人の長いものに巻かれろ的なアイデンティティー、メンタリティーへのノン、懐疑、嫌悪感が炸裂。本作では北朝鮮からの脱北者についても、野田の問題意識は触れている。「南へ」は実は「北から」の物語でもあるのだ。まさにスピーディーな場面展開の野田ワールド全開といった感じで、見ている私の普段使わない脳の毛細血管にも血が巡ってぐるぐるするのが分かる。
 蒼井が長い髪をばっさり切って、ぼさぼさ頭で新たな印象。妻夫木はやはり格好いい、舞台映えがするなあ。席は前から5列目という好条件で、満喫した。
 20日(日)は下北沢のザ・スズナリで桃園会の「ダイダラザウルス」(作・演出深津篤史)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にもモチーフを得た、孤独な男の自分探しの旅。でもいまさら自分探しを見せられてもなあという思いが勝ってしまって、年長者である松本や野田の“挑戦”とは比較にならず。
 まあ2勝1敗というところでした。


posted by Kato at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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