2014年06月15日

名医先生

 札幌表現舎プロデュース「名医先生」(作ニール・サイモン=1973年、演出Mr.Oyaji=山野久治?)を6月14日(土)、札幌・シアターZOOで見た。出演者が良い意味で渋く確かな芸達者ぞろいで、上質な演劇だった。
 ロシアを舞台に、役者5人(山野久治、松橋勝巳、小林エレキ=yhs、小出あつき、屋木志都子)が何役もこなす短編7話のオムニバス形式の芝居。上演時間1時間50分。
 夫婦で舞台を見に行き、前列に座る上司の後頭部にくしゃみをした男の悲喜劇=1場「くしゃみ」(チェルジャーコフ=小林、妻=屋木、将軍=山野、将軍夫人=小出)、これまで各地で理不尽な扱いを受けてきた家庭教師の矜持=2場「家庭教師」(女主人=小出、家庭教師=屋木)、医学生と歯痛の男の抜歯騒動=3場「手術」(クリャーチン=松橋、小使い=山野)、自分はいかに表に出ずに人妻を籠絡するか、プレーボーイの腕の見せどころ=4場「色魔」(ピョートル=松橋、夫=小林、妻=小出)、文字通り、土左衛門を演じるから金をくれという奇妙な男の話=5場「水死芸人」(作家=松橋、浮浪者=山野、警官=小林)、思い詰めてモスクワに4日間かけて訪れた女優志望の女の話=6場「オーディション」(若い女=小出、声=松橋)、通風を煩う銀行専務と夫が病気で働けない女の融資をめぐるバトル=7場「弱き者、その名は…」(専務=山野、女=屋木、ポチャトキン=小出)。
 今年還暦を迎えた山野の節目を飾る舞台として企画されたらしい。ニール・サイモンらしいペーソスとユーモアに満ちた、人生の機微を感じさせる佳品に仕上がっていた。役者渾身の全力投球という芝居ももちろん見応えがあるが、出演者それぞれのこれまで生きてきた人生をも映し出すような、全力投球というよりは緩急を交えた、滋味あふれるこうした舞台もとても良いものだ。
 私は初見の芝居だが、調べてみるとやはり、チェーホフの短編小説を踏まえて書かれた戯曲らしい。毎年8月の札幌教文短編演劇祭でも、上演時間20分の中に、こうした人生の一辺、断片が描かれたら面白いだろうなと思った。
 すてきな舞台をありがとうございました。
posted by Kato at 09:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする