2014年05月20日

記事が半日も表示されなかったことのお詫び

 前項「12人の怒れる男」が19日(月)23時15分に投稿したのにもかかわらず(実際、表示された記事ではそうなっています)、20日(火)正午ごろまで半日も画面に表示されませんでした。
 この間、ブログを訪れてくれた多くの方たちにはご迷惑をおかけしました。すみません、お詫びします。
 管理してくれている札幌ハムプロジェクトのメンバーによると、これも一種の不具合のようです。
 原因を究明中ですが、またいつ起こるかもしれません。そのときにはまた、すみませんです。デジタル素人で申し訳ありません。
 ともかく、本作はめりはりの利いた(エッジの利いた、とも言える)素晴らしい舞台でした。
 これに関連して、三谷幸喜さんの「12人の優しい日本人」(初演1990年)というパロディーながら日本人論にもなっている優れた演劇も見たいなと思うのですが、三谷さんは戯曲本は出さないし、他人に上演許可も出さない人なので、当面無理でしょうね。いつかのその機会を待つことにします。ただこれは映画にもなっており(三谷幸喜脚本、中原俊監督)、レンタルDVDも出ていると思うので、本家の米国映画と併せてご覧になることをお薦めします。
 では、また。
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2014年05月19日

12人の怒れる男

 イレブンナインプレゼンツ dEBoo(イレブンナイン内において、小島達子がプロデュースする企画)の第1弾「12人の怒れる男」(作レジナルド・ローズ、訳額田やえ子、演出納谷真大)を5月18日(日)、札幌・コンカリーニョで見た。
 この役者陣と演出者名を見るに、良い芝居になるだろうとある程度は予想していた。それが期待以上の出来栄え、完成度の高さ。小島、納谷、出演者らに「感謝」の一言である。ブラボー!!
 ニューヨークの法廷。夏の暑い日。父親殺しの罪に問われたひとりの少年の審理が終わり、12人の陪審員が評決のため陪審室に集まった。陪審員の大半は少年の有罪を確信していた。全陪審員一致で有罪になると思われたところ、ひとりの陪審員が無罪を主張したことから物語は動き始める……。
 出演者は陪審員の番号順に以下の通り。
 陪審員長・能登英輔(yhs)、第2号・小山佳祐(劇団アトリエ)、第3号・納谷真大、第4号・河野真也(オクラホマ)、第5号・青木一平(NEXTAGE)、第6号・窪井響、第7号・江田由紀浩、第8号・久保隆徳(富良野GROUP)、第9号・山田マサル(パインソー)、第10号・小林エレキ(yhs)、第11号・大川敬介、第12号・明逸人。ほかに守衛に能登屋駿介(トリプルキャストで町田誠也、竹原圭一)。
 重厚でビジュアル的にもすてきなチラシによると…本作、舞台版『12人の怒れる男』は、1957年に上映されたアメリカ映画が基となり、これまでに世界中の多くの劇団やプロデュース公演などで扱われてきた。舞台は蒸し暑い陪審員室。父親殺しの罪に問われた少年の裁判において評決に至るまでの一日が描かれる。12人の役者達は一度も舞台から退場せずに約二時間、壮絶な討論を繰り広げる。派手な装飾や演出を一切排除した誤摩化しの効かない重厚なストレートプレイ。密室サスペンス劇の代表とも言えるこ名作に、札幌内外で活躍する実力派俳優達が真っ向から挑む。正義とは何なのか、人が人を裁くとはどういうことなのかを考えさせられる作品である。
 そして僕はまったくその通りの演劇だったなと感嘆する。この芝居をたたえるのに、僕の拙い言葉では申し訳がないと思う。
 「=」の字型に設えられた客席の間に、舞台は一段高く配置。舞台中央に正方形のテーブル、一辺に椅子3脚×4辺=12人。劇場入り口から見て右側が戸外(窓)という設定の密室。
 飛び交う言葉の応酬、聞きづらいところが一切ない。息が詰まる緊迫の2時間、一瞬も目が離せない、目を離したくない。張り詰めた時間が僕には実に心地よいのだ。
 プロデューサー小島達子にあらためて感謝する。こうした企画を立案し、旬の男優12人を厳選し、素晴らしい成果を実現した腕力に敬意を表する。
 演劇というものは、やはり座組がまず勝負なのだな、大切なのだなと納得する。そして本作の場合、だれが陪審員何番を演ずるかという配役が絶妙。もちろん納谷の真っ向から投げ下ろす剛球ストレートを受け止められるだけの実力派俳優ばかりだが、この名作戯曲がまるで各人に当てて書かれた「当て書き」でもあるかのようにぴったりなのだ。そのうえでそれぞれの個性が役柄に生きている。名前を持たない“陪審員何番”が舞台上に実存している。これには本当に驚いた。
 映画版は何度も見ている名作だ。ただ、いま思えば、映画では陪審員3、4、8、9あたりが見終えてのちのちまで心に残っているのだが、今回の芝居では全員が全員、個性ぴかぴかと、存在が生き生きと、説得力を持って胸に迫ってくる。
 ただただ素晴らしい。それしか言えない。
 あらためて本作に関わったすべての皆さんに「感謝」である。
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2014年05月08日

寿

 柴田智之一人芝居「寿」(作・演出・出演柴田智之、音楽烏一匹(sax)、トーコ(dr、key)=ともにムシニカマル)を5月6日(火)、札幌・レッドベリースタジオで見た。柴田が福祉施設(老人ホーム)で働いた経験を基に創作した。
 老人ホームサンライズで働き始める介護職員A子。彼女が体験する福祉の現場は想像以上に過酷なものだった。しかし、そこで入居者のB二郎と出会う。仕事に翻弄されながらも福祉という繋がりの中で2人の間に生まれる友愛、そして1人の人を看取るまでを芝居で表現(40分)。後半は、B二郎の歩んで来た道のりをたどる30分間の舞踏で構成する、演劇とダンスを使った、A子とB二郎、ふたりの絆の物語(筆者注・B二郎は人形だが、その台詞や入居者多数の台詞も柴田が発する)。
 ここに表現されるのは(柴田が女装した)A子の、さまざまな(言葉が直接的でなんとも申し訳ないが、認知症を患っていたり、その他のいろいろな事情で)手の掛かる面倒なことの多い入居者への対応の中で疲れ切った自分と、ただ一人と言ってもいいほど紳士的に向き合ってくれる人生の年長者B二郎への限りない慈しみ、彼の人間存在の尊厳への畏敬である。老人ホームの介護実態から始まり、各入居者の人となり、それらが冒頭から滞りなく丁寧に一人芝居で紹介される。そこで出会うA子とB二郎。それはいつか淡い“恋愛”感情に近かったかもしれない。だがB二郎は劇中で案外あっけなく逝く。ここをことさら“劇的”な別れにしなかったことで、展開としては後半の舞踏が生きてくる。
 後半は、学校長、その前は音楽教師だったというB二郎を偲ぶように唱歌「故郷(ふるさと)」の合唱があったり、特攻隊員として死ねなかったB二郎の無念などを挟み、A子の化身となった柴田とB二郎のダンスが展開される。音楽はフリージャズを思わせ、精神はどこまでも果てなく自由だ。
 見ていて、函館出身で2010年に103歳で亡くなられた世界的舞踏家大野一雄先生が踊った「ラ・アルヘンチーナ頌」を思い出した。大野先生が1929年に来日公演を見て、舞踏家の道に進むことを決めたスペインの舞踊家ラ・アルヘンチーナへのあふれる思いがこぼれる作品だ。
 僕が幸いにも見られたのは東京の大学生時代、「舞踏フェスティバル '85 」で。故郷釧路のジャズ喫茶「ジス・イズ」のマスター小林東さんのお誘いだった(「ジス・イズ」は東さんのご病気により残念ながら閉店)。
 大野先生はその舞台で、アルヘンチーナへの憧れを踊り、踊っているうちに自らがアルヘンチーナへと化身する。
 今回見た柴田の踊りもそうで、柴田=A子とB二郎の二人ともが、時にリードし、時にエスコートされながらの踊りが秀逸だった。それは互いを大切な、かけがえのない存在だと思い合った仲だからであろう。
 もう一つ、思い出しつつ書くならば、藤沢周の芥川賞受賞作「ブエノスアイレス午前零時」にぴったり。あの小説ではラスト、温泉で働く若者が客である痴呆で盲目の老女とアルゼンチンタンゴを踊る。と、そこは新潟の温泉街のはずが、いつしかブエノスアイレスに…。
 「寿」も、琴似の小さな劇場空間が、二人の踊る時間だけはどこか時空を超えた異世界へ確かにつながっているな、と思ったものだ。
 柴田の入魂、鎮魂−。それがあくまで押しつけがましくなく、全体的にユーモアをたたえて表現されたことに深く胸を打たれた。
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2014年05月04日

坂本祐以ちゃん、ごめんなさい

 あらためて画面を見て、もう一つ、訂正します。
 「坂本祐依」とあるのは「坂本祐以」の間違いです。
 お詫びして訂正します。
 なにより、祐以ちゃん、ごめんなさい。
 名前を間違われるのは、僕自身がとても嫌なことです。
 2004年に串田和美さんの「コーカサスの白墨の輪」の全国ツアーのパンフレットに「北海道伝説」として、それまで3年間の北海道での演劇合宿を僕が記者として取材したことを書いた署名記事に加藤浩嗣(かとうこうじ)とあったのは、とてもいやでした。
 もう、その原稿がなくてもいいくらいに。
 僕は(かとうひろつぐ)です。
 それだけ、僕は名前を大切にしています。
 祐以ちゃん、本当にごめんなさい。
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つまらない訂正と、小島達子さん、納谷真大さんへの期待とお願い

 前項「スリーカードモンテ」で中村伸郎さんのイヨネスコ「椅子」とあるのは「授業」の間違いです。ごめんなさい。
 訂正が出るように書きまくるようになると、僕の本領も発揮できるかも。
 小島たっちゃんのイレブンナインプレゼンツ「12人の怒れる男」は今年上半期とは言わず、今年最大の期待(今のところの札幌公演情報では)。このチラシからして、力(りき)入っていますよねえ。すてき!!
 皆さん、各回売り切れ続出のようですよ。前売り、予約はお早めに。
 納谷さん、演出、ぜったい、直球、期待してます(僕はあまり清原は好きじゃないんだけれども)、遊び球なし、そういう芝居を、札幌で、ぜひ、一回でも、お願い(で、お願いついでに言えば、いつか、ソーントン・ワイルダーの「わが町」をちゃんと戯曲通りに演出していただきたい。札幌とかに置き換えるのではなく。今回の芝居が成功したら、たっちゃんと相談してでも。その暁には僕も手伝います、何かを)。
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スリーカードモンテ

 projectDREAMER2014(東京)「スリーカードモンテ」(脚本・演出西永貴文=空飛ぶ猫☆魂(東京))を5月3日(土)、札幌・シアターZOOで見た。
 90分、いい芝居だった。あえていえばサイコ・サスペンス・ホラー。血とかどろどろは苦手の僕でも、こうした心理的サスペンスホラーはちゃんと見られる。どころか、いいなあ、と思う。とっても、かなしい、きびしい、つらい、切ない芝居なのにね。東京・渋谷の、いまはなきジャンジャンみたいなところで、毎週火曜の夜に見られた中村伸郎さんのイヨネスコ「椅子」みたいに、いつも、行きたいときに行かれる芝居だったらいいのに、とかってまで思う。
 でもそれはきっと可能だよ(あえてZOOでとは申しません)。西永は東京の人だけれども出演者10人はみんな札幌の演劇人。こういうサスペンスホラーを18時か18時半から見た後に、食って飲める、そんなすてきなツアーというかコースがあれば、札幌の演劇界は成熟するな。この芝居は、芝居として、その持ち味を備えているなと思う(ちなみにZOOのそばにもすてきなイタリアン&フレンチのTAMIS 011・802・9192 という店があって、札幌演劇シーズンの夏・冬には、なんとその上演演目からイメージした料理が出る!! お薦め!!)。
 閑話休題。芝居はマンションの2部屋の3話オムニバス。
 1・301号室。そこにいたアイ(柴田知佳)と、通報で来た刑事(戸澤亮)。
 2・302号室。ホストのヤス(熊谷嶺)と、彼が三股をかけていた女3人(坂本祐依、戸澤智美、青野さゆみ)=ちなみに僕が大学の尺八部時代に付き合いのあった東京女子大の箏曲研究会の女性に三股さんていたんだよなあ。珍しい名字。まあ、「二股」よりはいいと思うね。
 3・301号室。1の前にあったこと、1の後にあったこと。出演は大和田舞、田中温子、加藤結花、脇田唯。
 これが、絶妙につながる。詳しくは書かないが、人は死ぬ、あまたに。でも笑えもする、時に。実に抑制の効いた演出で、1、2、3のつじつまを合わせる具合も微妙にうまくて、じわりじわりとくるのです、胸に。そしてその浮ついていない芝居づくりは商品価値にちゃんとつながっていると僕は思う。全然知らないユニットだったけれども、見て、本当に良かった。
 後から考えれば、出演者は知る人ぞ知る札幌の演劇界でも役者揃い。これで前売り2500円、当日3000円は安いと、僕は思うな。なにより、芝居を見慣れていないであろう人にやさしい演出なのです。
 この芝居について知ったのはシアターZOO幹事としてZOOニュースなどに敏感だったことだけで(これは「リゼット」ではありません。ですから「リゼット大賞」候補として審査対象でもないです)、チラシも当日に劇場でしか見なかった。そういう人は多いのではないでしょうか。でもパンフレットを見ると、キャスティングにも制作にも脇田唯の名前があるから、彼女の尽力が大きいのだろう。ありがたい。
 初っぱな公演にもかかわらず満席で、札幌演劇界は侮れないなと思った。特に僕のようにおじさんになると、初見のソワレは正直ちょっとつらい。特に出来が悪いとね。今回はマチネだったので、心に余裕が持てた。しかも、とてもメリハリの利いたいい芝居だったし。
 前評判を全然知らずに、すてきな芝居に出会えたという印象が強かった。大和田舞のいかにも「主」という貫禄をはじめ、女優陣が素晴らしかった。このユニットは名前に2014と付いているだけあって今年だけなのかな。来年以降もやるようでしたら、ぜひ「リゼット」にご応募くださいね。
 projectDREAMER2014(東京)「スリーカードモンテ」、開演は4日(日)15・19時、5日(月)13時です。ぜひご覧ください。 
posted by Kato at 05:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする