2013年08月24日

ロッスム万能ロボット会社・第2回試演会

 札幌座「ロッスム万能ロボット会社」第2回試演会(本番のクレジットがどうなるかは不明だが一応、作カレル・チャペック、上演台本・演出すがの公)を8月23日(金)、札幌座稽古場(シアターZOOロビー隣のスタジオ1)で見た。
 第1回試演会を4月27日(土)に見ており、文庫本を持ちながら演じられたこの時の上演時間は休憩10分×2回を含め3時間超。
 今回は千野栄一氏の訳をもとに、すがのが台詞のカットや書き換えを行った台本を持って演じられた。上演時間は休憩10分ほどを挟み2時間20分ほど。
 全体がスリムになり、テーマがより鮮明になった気がする。第1回は漫然と見ていた、筋を追っていただけだったということが今回でわかったのだが、この戯曲はまさに現代社会の恐ろしさを克明に描出した予言の書だ。すがのの手入れが的確だったということもあろう。
 ただ終盤がちょっと冗長との印象も受けた。とりわけ激動の時を経た後のラスト近くのシーン。2体のロボットとそれを“名付ける”人間との対話などの場面は、すでに受け手(観客)の側が感動に巻き込まれてしまって心が先を急いでいるのに、芝居の方がそれに追いついていないのではないかと思った。よいかどうかは別として、現代の観客は受け取り方や先読みがもっとスピーディーなのではなかろうか。ラスト近くの美しい言葉がちりばめられた台詞をもっと削って演出をいっそうシンプルにしても、観客の想像力=創造力がしっかりと働いているから、芝居としての魅力、完成度は決して薄まりはしないだろうと思うのだが。
 まあ、きょう斎藤歩チーフディレクターが来札して見るとのことなので、本番がどうなるか期待していよう。
 公演は11月29日(金)〜12月2日(月)、札幌・サンピアザ劇場で。
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2013年08月18日

教文短編演劇祭2013・決勝

 教文演劇フェスティバル実行委員会主催「教文短編演劇祭2013」の決勝が8月18日(日)、札幌市教育文化会館で行われ、yhsが初優勝した。イレブン☆ナインの4連覇を阻み、4度目の挑戦で宿願を果たした。チャンピオンは劇団怪獣無法地帯(2008、09)、イレブン☆ナイン(10〜12)に続き3代目。いかに防衛していくかが注目される。
 順位順に書く(特記ない限り、在札劇団)。
 @yhs「ラッキー・アンハッピー」(作・演出南参)195票(観客185票、審査員10票)Aイレブン☆ナイン「にせんえん」(作・演出納谷真大)134(94、40)B劇団B級遊撃隊(名古屋、招待)「ランディおじさん」(作・演出佃典彦。私は東京に「上海バンスキング」を見に行った10年3月、下北沢のザ・スズナリで2時間版の初演を見ている)63(38、25)CTBGZ「マグカップダイアリー」(作里美ユリオ、演出八十嶋悠介)57(42、15)。
 イレブン☆ナインはこれまで有無を言わさず圧倒的に観客票をわしづかみにして勝つパターンだったが、今回は伸び悩んだ。
 一方、yhsは観客票でイレブン☆ナインにダブルスコア近い差をつけ、勝負を決めた。偶然にも予選と同票になったが、審査員票が最下位とは一種の珍事だ。
 劇団B級遊撃隊は愛知県長久手市で毎年2月に開かれてきた短編演劇祭「劇王」(今年、10回目の節目で終了)からの“刺客”。手堅く集票した。
 TBGZ(元TBGS)も健闘。ミヤザキカヅヒサは芝居からはちょっと離れているが、元気で室蘭で働いているとのこと。一安心だ。なお、カンパニーの“改名”は「ももいろクローバーZ」にあやかってのものらしい。
 深川市の観劇家松井哲朗さんはyhsに投票。私はyhsとTBGZに投票した。
 短編演劇祭が終わると、秋、という気がする。
 今回の模様をNHKが取材していた。大事件などがなけえれば、22日(木)7時半すぎに放送される(総合だと思う)。
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教文短編演劇祭2013・予選

 教文演劇フェスティバル実行委員会主催「教文短編演劇祭2013」の予選を8月17日(土)、札幌市教育文化会館で見た。
 20分の上演時間に魂を込めて、イレブン☆ナインのV4がかかった舞台。どこが挑むことになるのか?
 今回から審査形式が改まり、従来1人1票の観客票が1人2票に(ただし同一カンパニーに2票はだめ、無効票)。従来、決勝のみだったゲスト審査員も予選からに。今回は劇作家・演出家の橋口幸絵(劇団千年王國代表)、泊篤志(飛ぶ劇場代表=北九州)、鹿目由紀(劇団あおきりみかん主宰=名古屋)の3氏。それぞれ持ち票は30票ずつ(5票きざみで投票)。橋口は一次の戯曲審査からとのことで、これも、当たり前だがいいことだと思う。これまでは戯曲審査をした審査員が8月の実際の本選舞台を見にきていないことが多かった(つまり、自分が選んだものに対して無責任だったということだ。舞台になったらどうなるか、それをどれほど見たいかを考えていなかった審査だったということ。この改善は、かねがね実行委に対しても私が言いたいことだった)。
 順位順に書く(特記ない限り、在札劇団)。首位の1カンパニーが予選通過だ。
 予選Aブロック。
 @yhs「ラッキー・アンハッピー」(作・演出南参)195票(観客155票、審査員40票)A劇団パーソンズ「セクシータイツバーPARADISE」(作・演出畠山由貴)88(78、10)Bくしろ高齢者劇団(釧路)「ヨヨヨ。テコロレプ」(作・演出佐藤伸邦。アイヌ語だと思われますが、本来はロとプが小さい字です。私のパソコンでは出ないので、申し訳ない)74(39、35)C劇団しろちゃん「めぐリズム」(作・演出鎌塚慎平)50(45、5)。
 予選Bブロック。
 @TBGZ「マグカップダイアリー」(作里美ユリオ、演出八十嶋悠介)86(36、50)Aパセリス(東京)「死ぬまでにしておきたいこと」(作・演出浅海タクヤ)74(64、10)B劇団アトリエ「ふたりの桃源郷」(作・演出小佐部明広)57(32、25)CTUC+KYOKU「優曇華(うどんげ)の花が咲くときは」(作橋下一兵、演出滝沢修)14(9+5)。
 ここであえて観客票と審査員票を書き出したことにご注目いただきたい(こういったマニアックな記録は教文短編演劇祭のファイルにも残らないかもしれないからである)。
 特に、Bブロック(全体的に票数が少ないが、開演が18時からで、観客総数が14時開演のAブロックより極端に少なかった)のパセリスとTBGZとの関係。パセリスは観客から相当数の票を得ながら、審査員からは10票しか得ていない。一方、TBGZは観客票はパセリスの半数ほどと少ないのに、審査員票はAブロックを含めての首位である。ここが、今回、予選からゲスト審査員を招いた妙だと思うのだ。
 TBGZの芝居はどういうものかというと、ちょっとエロ。48歳の私などには、「よく昔の日活ロマンポルノの雰囲気を醸し出したなあ」という感じだ。TBGZはTBGSを継いだカンパニーだと思うが、ミヤザキカヅヒサは元気だろうか。ゲスト審査員制度があったら、2010年の栄冠はイレブン☆ナイン(V1)ではなくてTBGS「117」だったのではなかろうか、とも思う(この年のシアターホリック「演劇病」マイベスト。予選敗退だったが、見た当日に「117」について原稿用紙8枚分の劇評を書いたら400件近いアクセスがあった。教文の会場で当時の舞台DVDを販売しているので、ご興味のある方はお買い求めください)。
 きょうは深川市の観劇家松井哲朗さん(70代後半ながら、昨年まで3年間、札幌劇場祭審査員。在札劇団「シアター・ラグ・203」のホームページで、季刊の劇評が読めます)と一緒になった。かつてパーソンズに客演して、パーソンズの応援に来たという深川出身の村上義典くんを紹介された。
 僕は舞台で、彼は当ブログでお互いを認識していたが、初対面。やはり、華のあるいい男だ(彼が主演した弦巻楽団「果実」は本当に良かった)。北海学園大時代から自校の演劇研究会というよりあちこちに客演し、卒業後は道内一の企業・北洋銀行に入行。でも舞台への夢経ちがたく、1年かそこらで辞めて上京。いまはアルバイトの傍ら、いろいろオーディションを受けているらしい。シェークスピアかなにかをやらせたら、きっとピカイチだろうな。彫りが深い顔立ちだし、引き立つ、締まる。それに、話していて気持ちがいい人だ。保証します。
 で、そんなこんなで松井さんと飲む。AとBの間も、Bが終わった後も。考えたら、3月の東京乾電池「寿歌」以来だ。松井さんはなんと、Aでパーソンズに2票入れてしまって無効で、Bはポケットに入れた投票用紙を見つけあぐねて無投票だったらしい。なんとまあ、もったいない。
 僕はAはyhsとパーソンズ、BはTBGZとアトリエに入れました。
 
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2013年08月17日

イザナキとイザナミ−古事記一幕−

 劇団千年王國 音楽劇「イザナキとイザナミ〜古事記一幕〜」(作・演出橋口幸絵、作曲福井岳郎、美術杉吉貢、切り絵KIRIGAMIST千陽、衣装矢野あい)を8月16日(金)、札幌・シアターZOOで見た。
 日本演出者協会主催「若手演出家コンクール2005」最優秀賞・観客賞W受賞作品。初演は同コンクール最終審査会として06年3月に東京・下北沢・「劇」小劇場で。出演は千年女優の榮田佳子とチャランゴ奏者・唄歌い福井岳郎(スタジオ・ティンクナ)。
 次々と繰り出されるイメージ豊かな想像力の舞台。圧巻だ。
 それにしても、文学としての戯曲には岸田國士戯曲賞があって「演劇界の芥川賞」などとも言われるのだが、演劇なのに、肝心の演出を対象とした賞が少ないのは理不尽だ。映画には、アカデミー賞でもなんでも「脚本賞」と「監督賞=演出賞」があるのに。この作品などは「若手演出家」としてのくくりだけにはとどまらない、橋口の才能が奔出している。
 榮田の身体性、音楽的センスの見事なこと。今回見て、「ああ、私はずっと彼女に野田秀樹を見ていたのだな」と気づき、納得する。野田は劇作家、演出家として非凡だが、それ以前に一人の役者として独特の魅力がある。パンフレットで榮田について「中性的な魅力」とあるが、その点でも野田と通じる。
 終演後の初日乾杯で、橋口らと歓談。「もろもろの事情」から、本作は今回の公演を最後にするとのこと。神話が伝説になる。お見逃しなきよう。
 そういえば、コンクールW受賞の記念パーティーが06年5月ころだったかな、札幌のすてきなバーで開かれた折、締めの乾杯のあいさつを仰せつかった。「北海道演劇はチームナックスだけじゃない! というところを見せつけ続けてください」などと話した記憶がある。あれから7年。早いな。
 千年の次回公演は11月21日(木)〜24日(日)に札幌・サンピアザ劇場で「ローザ・ルクセンブルク」。ポーランドに生まれドイツで活動したマルクス主義の政治理論家、哲学者、革命家(ウィキペディアより)。評伝ものらしい。
 なんだかうれしくなって、「風琴工房(東京)のように社会派っぽい芝居にもどんどん挑んでほしい」と橋口に要望したら、「了解」と快諾された。そして「加藤さん、妊娠したの。もう5カ月(だったと思う)」と、大きなお腹を愛おしそうにさすっている。新たな命を宿したら、社会派を志向するようになったらしい。千年が社会派に切り込んだら、どんなことになるのだろう。ますます目が離せなくなる。
 札幌演劇シーズンの詳細については http://s-e-season.com/ をご覧ください。
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2013年08月16日

煙草の害について

 きょうから盆休みというか、演劇に合わせて3連休を取りました。
 「煙草の害について」ですが、劇評ではありません。
 チェーホフのその題名の芝居は数年前に柄本明さんが札幌・シアターZOOで抱腹絶倒の演技で笑わせてくれましたが(ロシア公演のNHKドキュメンタリーもあります)、そうしたことではありません。
 私は「煙草の害について」承知のうえでの喫煙者ですが(9歳の時に38歳の父=喫煙者=が肺がんで死亡)、今回の日本禁煙学会の宮崎駿監督のアニメーション映画「風立ちぬ」への申し入れについては驚きました(日本禁煙学会のホームページに行くと、見られます)。
 この不自由さをアートが受け入れたら、戦前とか古い時代がいっさい描けなくなるのではないでしょうか。
 まあ、僕も「千と千尋の神隠し」の時に実際に一対一で取材して、「鵺(ぬえ)のようだな」と思った宮崎さんだから、いろいろあろうけれども。
 日本禁煙学会にしても“善意”なのかもしれませんが、あまりにもアートへの思いがなさすぎると思います。
 また、こうした表現“検閲”が、実は子どもたちに見せてはいけないこととして、戦前・戦中の日本軍の愚行や、立場変われば米国の広島、長崎への原爆投下、ナチス・ドイツによるユダヤ人抹殺計画、その後のイスラエルによるパレスチナ圧迫などなどを「なかったことにする」、「表現は最小限にとどめる」などとなってしまっては、本末転倒ではないでしょうか。
 表現は自由だからこそ、人は自由なのです、アートも、心も。
 きょうは飲んで帰宅しても、この思いが消えなかったから、あえて書きました。
 今晩から、劇団千年王國(シアターZOO)、教文短編演劇祭と、3日連続の観劇。
 できるだけ、見た、その日にアップします。
 なお、前項「許されざる者」で、私があまりにも西部劇を強調していたから、上川町にサボテンを生やしたとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。ごめんなさい。そうじゃないんです。日本版はあくまでも1880年代の北海道に翻案した時代ものです。だから、ちょっとね、刀が腹に刺さったりして…ファーストキスには似合わないんじゃないかと…。
 おじさんの勝手な思い込みです。
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2013年08月11日

許されざる者

 クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米国アカデミー賞の作品賞、監督賞、助演男優賞(ジーン・ハックマン)、編集賞を受賞した米国映画「許されざる者」(原題Unforgiven、1992年)の日本版リメーク「許されざる者」(監督李相日=「悪人」「フラガール」ほか)を8月9日(金)、札幌プラザ2・5での試写会で見た。
 オープンセットを含めて全編か、おそらくは9割以上が上川管内上川町をはじめとする北海道内で撮影されたことから、私も理事を務めるNPO法人北の映像ミュージアムに試写会のご招待を頂いた(北の映像ミュージアムは北1西12、旧北海道厚生年金会館のホテル内にあります。貴重な映像資料満載です。月曜休館。月に1000人がいらっしゃってます。ぜひお越しください。9月21日=土=にオープン2周年記念映画会あり。後日、ここにご案内を書きます)。
 渡辺謙、柄本明、柳楽優弥(最初は誰かわからなかったけど、実に好演)、小池栄子、佐藤浩市らが出演。たしか9月13日(金)公開です(いま映画は土曜日公開ではなくなったのね)。
 2時間15分。重厚で、見応えがある。映画評は公開が近くなったら山のように出るはずなので、僕はあえて書かない。ただ、二日酔いで見に行った僕も全然眠気は出なかった。むしろ、わくわくした。理事の一人によると、物語は本家の米国版とほとんど変わっていないとのこと。当ミュージアムの館長である作家の小檜山博さんは常々「北海道には西部劇がよく似合う」とおっしゃるが、最近、西部劇自体が少ないからね、特に希少価値ありではなかろうか。そして大雪山系の山並みが本当に西部劇の情感をたたえてるのには驚いた。さすがに手堅い李監督。これだけ北海道の大自然を写し込んだ映画はとてもうれしい。「北海道」なのに「西部劇」。「北」と「西」。なんなんでしょう。でも、ご覧になったら本当に驚きますよ。北海道での西部劇(舞台は1880年代)−。映画そのものも、映画ファンなら十分に楽しめるでしょう。
 ただ、重要なことを一点、若い方々にお伝えしておく。
 当ブログはおかげさまで中学生諸君の読者も多いようだけれども、男子諸君! 初めてのデートでこの映画にガールフレンドを誘うのは正直言ってお薦めしない(だからその前にもう一本、コメディーか恋愛ものを見て、いっそう仲良くなっておきましょう)。
 この映画は見終えた後にちょっと重い。初めてのデートなら、なおさら重すぎる。午前からのデートで映画を見終わって、彼女を自宅にまで送り届けたとき、ファーストキスにまで持っていきたい人には特にお薦めしない。むしろきっと、初めての二人きりのデートでこの映画を見ようと誘った君のセンスを疑うだろう(後のことは知らないよ)。
 ただ、良い映画なのはたしかなんだがね。
 札幌座チーフディレクター斎藤歩に出演者集めの依頼がかかったらしくて、札幌演劇界からも私の見知った大勢が出ている。札幌演劇ファンにはその人捜しをするのも一興だろう。
 私が確認できたのは以下の通り(敬称略、順不同)。
 斎藤歩、原子千穂子、山本菜穂、齋藤由衣(今春に札幌座を退座)、坂本祐以、三宅亜矢(以上の女優4人は小池栄子と絡む女郎役。たくさん出てきます)、山野久治(笑えます)、松本直人、木村洋次、亀井健、あと、まだいた感じがするけれど…思い出せない。
 あ、もう一人、ラストのエンドロールで発見!!
 札幌座の制作阿部雅子(方言指導=きょう尋ねたら齋藤由衣が岩手出身との設定で、その方言らしいです)。札幌座の稽古ブログだけでなく、こうしたところにも出没して確実に名前明記をゲットする阿部さん。さすがです(普通は、自主映画で1万円の製作補助金出して、あのエンドロール明記です。この映画は億からの金でしょう? すごいなあ)。
 というわけで、お楽しみに!
 きょうも円山の「円か」(まどか。たしか南1西22かな)に行ってきました(店の看板などは直木賞作家伊集院静さんが揮毫)。良い芝居だったと言っては行き、だめだめだったと言っては行く、なじみの店です。
 5月に劇団北芸(釧路)公演の後、そのまま帰る気がしなくて行ったということをここで書いたら、なんと! 当の北芸の森田啓子さんが1カ月もしない間に釧路からいらっしゃったというから驚き。腰がお軽いのにも驚いていました。
 私は今年はここまでの観劇数は例年より30本ほど減。演劇シーズンの定着によって冬と夏にシアターZOOとコンカリーニョの空きがなくなったうえ、東京行きも年2、3回を考えているので、小遣いを控えていることもあります。
 でも、いい芝居が見たいなあ。
 きょう「霜月小夜曲」を見たばかりなのに、もうつぎの献血を求めている僕なのです。
 贅沢ですねえ。
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霜月小夜曲(ノヴェンバーセレナーデ)・再観

 札幌座「霜月小夜曲(ノヴェンバーセレナーデ)」(作・演出・音楽斎藤歩、初演2011年)を8月11日(日)、札幌・シアターZOOで再観した。
 7月21日(日)に今回の2ステージ目を見て以来の、きょうは札幌公演千秋楽だったが、3週間のうちに役者のめりはりがいっそう利くようになっていて、その分だけ物語の輪郭がくっきりと浮かび上がり、なお良い出来栄えになっていた。
 北海道という大地に根ざして、またはそこを心のよりどころにして生きていくことのかけがえのなさ(それは全国、全世界どこの地域でもそうだろう)。じわりと胸に染みた。
 それにしても宮田圭子、林千賀子、吉田直子のトライアングル三人娘の素晴らしさよ。札幌演劇界の財産だ。
 8月末から道内と東京でツアー公演する(詳細は札幌座ホームページをご覧ください)。札幌でも清田区でもう一回上演される。今回見られなかった方はぜひ。
 札幌演劇シーズンの詳細については http://s-e-season.com/ をご覧ください。
 7月22日(月)のブログで、釧路湖陵高校創立100周年(2012年)記念誌「誠愛勇の湖陵百年」に私が湖陵35期(1983年卒業)を代表して文章を書き、斎藤歩さんがこの芝居で使った「B面の人生」という言葉を引用させていただいたことを紹介した。
 実は9月に、35期の卒業30年経って初めての同期会が札幌で開かれる。
 出席予定者は卒業生450人のうち80人ほど+担任教諭ら。
 出席する(できる)のはおそらく「B面の人生」でレコード盤が傷んでいたり、針が飛んだりしていない人だろう。いや、かえってそうした人たちこそ、かつて輝いていた自分の一瞬を思い出すために出席するものかもしれない。僕自身も含めて。
 僕たちはそれぞれにどんな人生の軌跡を描いてきたのか、これから「B面の人生」にどんな歩みを進めていくのか。
 大いに語り合ってきたい。楽しみでしょうがない。
 きょう見て再び確認した。
 「霜月小夜曲」は私にとって里程標のような大切な愛しい芝居である。
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2013年08月04日

演劇つれづれ

 札幌演劇シーズン2013夏も3週目に入りました。
 札幌座「霜月小夜曲」(シアターZOO)も劇団イナダ組「キカヌクスリ」(コンカリーニョ)もいっそう深まっていることでしょう。もうご覧になりましたか?
 芝居は時間と金が許せば、初日を見て中日を見て千秋楽を見るのがいいとされますが、なかなかそうもいきませんしねえ。
 僕はできるだけ開幕すぐのころを見に行ってブログを書くことにしているのですが。そうなんです、まだ、役者やスタッフに良い意味で緊張感がありありのころですね。で、良い作品はもう一回見に行ったりもします。
 きょうは「霜月小夜曲」について、観劇の勘所というか、こう見ても楽しいということを書きます。
 「霜月−」はロシアを代表する劇作家チェーホフ(1860〜1904年)の「三人姉妹」を下敷き(という言い方が適当かどうかはわかりませんが)にした芝居です。
 道北の高校時代の仲良し女性3人組を三人姉妹に見立てたつくりです。
 劇中台詞にある「生きて行かなければ」とか「生きて行きましょうよ」とかは、そのまま「三人姉妹」の台詞です。
 チェーホフは「かもめ」「ワーニャ伯父さん」「三人姉妹」「桜の園」の四大戯曲が有名ですが、中でも台詞や設定が下敷きにされて新たな作品が作られることが一番多いのは「三人姉妹」ではなかろうかと、僕は思っています。
 清水邦夫の超有名な女性4人芝居「楽屋」も、劇中劇として上演されているのは「かもめ」という設定ですが、ラストはもろに「三人姉妹」です。
 先の「生きて行きましょうよ」などの台詞の簡にして要を得た表現などを含め、それだけ時代を経ても変わらない人間の本質を突いた作品だということでしょう。
 「霜月−」も「三人姉妹」の台詞や舞台設定を斎藤歩さんが巧みに換骨奪胎した芝居です。
 節子(林千賀子さん=「三人姉妹」としてはマーシャ)、友紀(吉田直子さん=イリーナ)、睦美(宮田圭子さん=オーリガ)が高校卒業後、別々の波瀾万丈の、でも誰でも経験していそうな25年間を過ごし、そして心のふるさとで生きて再会できたことの幸い。その何気ない、ささやかだけれど大切なことが、人形劇なども駆使してコミカルに描かれています。3人の性格的なところ、生きようなども「三人姉妹」を踏まえているところは驚くばかりです。
 女性3人が主人公ですが、男の僕もじわりと胸に染みたことは、7月22日のブログに書きました。
 チェーホフの「三人姉妹」は僕は新潮文庫版で読みましたが、岩波文庫からも出ているはずです。
 「霜月−」を見る前、または見た後にでも読んでみてください。100年前に、今の人間の心情がくっきりと描かれています。
 札幌演劇シーズンの詳細については http://s-e-season.com/ をご覧ください。
posted by Kato at 11:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする