2011年02月27日

KAIZOKU・追加

 ごめんなさい。
 「KAIZOKU」は最終日27日(日)、開演が13時と17時です。
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KAIZOKU

 ミュージカルユニットもえぎ色「KAIZOKU」(原案・振付喜井萌希、脚本・演出太田真介)を2月26日(土)、札幌・ブロックで見た。10人ほどの女性陣がみんな男装の海賊に扮装。みんな汗だくで歌って踊って、私は男だからびびーんと特に感じる素敵な爽やかなお色気もにおいたって、とにかく応援したい!という思いに満ちた素敵な舞台だった。
 舞台はロック(坂本祐以)、スケ(国門綾花)、ポピー(森高麻由)、シック(寺崎智美)の海賊四天王と、ルーダ(吉田梨恵)ら海賊になりたい!という5人+男1人の宝探し物語。みな女性陣が男装で汗だくでセクシーで、物語は分かりやすかったし、とりわけ踊りと歌が素晴らしかった。
 特に踊り。近くで3月から大資本、劇団四季の常打ちが始まるけど、こちらは手作りミュージカル、応援するから絶対にひるまないでね、萌希ちゃん!
 それに海賊の乗船する船の作り物もなかなかよかった。物語は今後延長するのかな?

してもおかしくないよね? これで終わりって感じでもなかったし…。
 27日(日)は13時と17時の開演。
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2011年02月26日

死にたいヤツら

 弦巻楽団「死にたいヤツら」(作・演出弦巻啓太)を2月26日(土)、札幌・サンピアザ劇場で見た。2006年11月、ターミナルプラザことにパトスとコンカリーニョで「死ぬ気で遊ぶ 近松門左衛門祭り」と題して行われた「遊戯祭06」の最優秀賞作品(本作はパトスで上演)であり、その年の「札幌劇場祭2006大賞」(当時はこういう名称ではなかったが、混乱を避けるために現行の名称で表現)もW受賞した伝説の作品の再演だ。
 近松を研究していた大学教授竹本(温水元)の四十九日法要の晩。妻千夜(菜摘あかね)、千夜の妹初実(森田亜樹)、家政婦ウメ(斎藤もと)、竹本の教え子の大学生小春(脇田唯)とその彼五郎(茅原一岳)、竹本の同僚で英米文学教授の武蔵川(平田渓一)が居間でひと息ついているところに、弁護士(温水が2役)がやって来る。竹本が遺言状を遺しており、そこには「最愛の愛人」に遺産2億円を相続すると書かれているが、その「愛人」が誰か分からないというのだ。と、「私です!」と挙手する初実、ウメ、小春、さらには同性愛者?の武蔵川。果たして「愛人」とは誰か、2億円の行く先は? またその愛の日々の実態は−といったコメディー。温水だけが初演と一緒の役で、ほかの6人は初の配役だ。
 ここで現実的なことを言えば、相続先を誰々と明示しない遺言書は本来、効力を持つはずがない。でも、2億円と聞いて「愛人です」と名乗りを上げた面々には、そうした基本的な法律知識が欠けていたのだろう、と私はあえて好意的に解釈する。この点が実は、この謎解き的要素もあるコメディーの重要なポイントであり、そう考えるのが一番、ラストの意外な展開にも納得がいくのだ。
 「曽根崎心中」や「冥途の飛脚」、「心中天網島」、「心中宵庚申」といった近松の名作のエッセンスを随所に取り入れたパロディー精神に溢れ、テンポもとんとんとんとんと調子が良く、自称愛人たちの「あの愛の日」をいちいち再現する芥川龍之介の小説「藪の中」的な筋の運びも弦巻の面目躍如。役者たちの演技はあえて大振りに演出され、そうしたところに、先に書いた、現実にはあり得ない遺言書をモチーフにしたコメディー芝居の“あり得なさ”を見る側に意識させずに楽しませる面白さがある。そういう意味では、弦巻が確信犯として創作したウェルメード・コメディーとも言えよう。もちろん、近松の本のどれをも知らなくても十分に楽しめることは請け合いだ。
 竹本と弁護士の2役を演じ分けた温水が的確。妻千夜役の菜摘も彼女自身のほんわかした感じが役柄に似合っていて良かった。
 27日(日)は15時開演。
 ここでビッグニュース!
 本公演はサンピアザ劇場企画公演“プレミアムステージ”として上演されたが、今年からサンピアザ劇場で公演する演劇を対象に「神谷演劇賞」が設立された。
 厚別区在住で演劇を愛する神谷忠孝・北大名誉教授と審査委員が、1〜12月にサンピアザ劇場で公演された演劇の中から優れた作品を表彰するもので、賞金は10万円!(聞くところによると、神谷氏のポケットマネーらしい)。審査委員になりたい方は「サンピアザ劇場で芝居を観る会」(事務局は北海道演劇財団011・520・0710。年会費8000円で現行で最低5公演は招待)に入るだけ! しかも札幌市内の他の小劇場に比べて、サンピアザ劇場にはまだ空きがある(ようだ)! これは演劇を作る側にとってもおいしい賞だし、見る側にも二重の楽しみができるのではないか? 審査は今回の「死にたいヤツら」から始まっている。はたして神谷氏はどう楽しんだだろう。
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2011年02月21日

東京観劇記2011年2月

 東京で芝居を3本見てきた。
 2月19日(土)はまず座・高円寺でMODEの「マッチ売りの少女」(作別役実、演出松本修=札幌出身、MODE主宰、1996〜98年度にTPS常任演出家)。66年初演で、別役が第13回岸田國士戯曲賞を受賞した出世作だ。私も戯曲自体は読んでいたが、実際の公演を見るのは初めてだった。
 大晦日、雪の夜。初老の夫婦(福士恵二、大崎由利子)が夜のお茶の用意をしている。見知らぬ女(山田美佳)が訪れる。「私、あなたの娘です」。そして彼女の弟(中田春介)も。二人の真意は何なのか−。
 昔に読んだ劇評では、きょうだいは、あの戦争を生き延び、今は遠い昔の思い出のように暮らしている初老の夫婦を告発する存在として読み込まれていた。だが、初めて舞台化を見て、それだけではないかもしれないという印象を受けた。
 松本が劇中音楽として選んだ、ザ・ピーナッツの「心の窓にともし灯を」が実に効果的にマッチしていた。
 終演後、燐光群代表でかつてこの戯曲を取り上げた坂手洋二と松本のアフタートークがあり、二人の演出法の違いなども聞けて満足した。
 夜は東京芸術劇場で野田地図「南へ」(作・演出野田秀樹)。300年前に噴火したという無事山火山観測所に南のり平(妻夫木聡)が着任する。同じ頃、噴火口で自殺を図ったという女あまね(蒼井優)が助け出されてくる。火山観測所には近々、天皇皇后両陛下が来るらしく、所長(渡辺いっけい)以下職員らはなにかと慌ただしい−。
 野田の天皇制批判や日本人の長いものに巻かれろ的なアイデンティティー、メンタリティーへのノン、懐疑、嫌悪感が炸裂。本作では北朝鮮からの脱北者についても、野田の問題意識は触れている。「南へ」は実は「北から」の物語でもあるのだ。まさにスピーディーな場面展開の野田ワールド全開といった感じで、見ている私の普段使わない脳の毛細血管にも血が巡ってぐるぐるするのが分かる。
 蒼井が長い髪をばっさり切って、ぼさぼさ頭で新たな印象。妻夫木はやはり格好いい、舞台映えがするなあ。席は前から5列目という好条件で、満喫した。
 20日(日)は下北沢のザ・スズナリで桃園会の「ダイダラザウルス」(作・演出深津篤史)。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」にもモチーフを得た、孤独な男の自分探しの旅。でもいまさら自分探しを見せられてもなあという思いが勝ってしまって、年長者である松本や野田の“挑戦”とは比較にならず。
 まあ2勝1敗というところでした。
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2011年02月17日

犬は鎖に繋ぐべからず・紙風船

 じゃぱどら!!地区大会「井上さんと岸田さん」のWATER33-39「犬は鎖に繋ぐべからず」「紙風船」(ともに作岸田國士、演出清水友陽)を2月17日(木)、札幌・シアターZOOで見た。
 「じゃぱどら!!」はシアターZOOを会場に本年度から始まった、清水がプロデューサーを務め、日本の近代・現代演劇の戯曲を見つめ直し、札幌の若手演劇人が上演する新シリーズ。1月の劇団回帰線「国語事件殺人辞典」(作井上ひさし、演出西脇秀之)に続く第2弾が「岸田さん」だ。ちなみに岸田は東京の老舗劇団・文学座の創設者の一人で、女優の故岸田今日子の父。“演劇界の芥川賞”といわれる岸田國士戯曲賞というのがあることをご存じの方も多いだろう。
 「犬−」は1930年の作で、上演時間約1時間。ある都市の新興住宅街。英語教師今里家(パパ=赤坂嘉謙、ママ=中塚有里、小学校低学年程度の息子=畑山洋子)のもらわれ飼い犬ペス(小林テルヲ)が近所で飼っている鶏をかみ殺したり、近所の旦那の靴の片方をくわえて行ったりと迷惑をかけ続けたせいで住宅街の一角は大騒ぎ。近くに住む、新聞記者を失職し妻子には実家に帰られた男(高橋正樹)がしゃしゃり出てきてお節介なことに今里家の庭で「近隣平和会議」という会合を開くと、参加したご近所連中は「犬は鎖に繋いでほしい」とか「鳥屋以外は鶏を飼うことをこそ禁じてほしい」とか「ピアノの練習は昼間だけにしてほしい」などと、出るわ出るわ、みんな不平不満の言い合いで大騒動になる。
 いやあ、どこかで見た聞いた光景だなあ。劇評っぽくないので普段は滅多に使わないが、「実に面白かった」。気はいいが神経質そうなパパの赤坂と、優しいが芯はしっかりしているママの中塚がぴったりの配役で絶妙のコンビ。
 それにしても感心したのは、岸田の戯曲は現代にあって上演されて私が見ても通じてくる「今」をしっかり描いているということ。それぞれを「パパ」「ママ」と呼び合う英語教師一家など、当時の「モダン」の典型だろう。
 そうしたことと舞台が当時の新興住宅街であることを背景に、清水と美術の中川有子は、今里家の居間を立派に建て込む一方、その向こうの正面奥に大きな透明ボードを2枚、手前と奥に間隔を置いて立て、そこに、初めは舞台手前の庭で「まりつき」や「かごめかごめ」など伝承遊びをしていたアンサンブルの女優たちがマジックで家並みを描いていく様子を冒頭に配置した。その「モダン」「新興住宅街」を一発で舞台化したアイデア、才気煥発にも乾杯。私の清水演出に対する評価は、「札幌劇場祭2010大賞」を受賞したTPS「クリスマス・キャロル」で19世紀ロンドンを一発で表現したのを見て以降、うなぎ上りだ。
 ところで芝居を見てひょいと思い出したのは映画監督小津安二郎。そう言えば岸田と文学座結成に加わった看板女優杉村春子は小津映画の常連だったなあなどと、当時の演劇、映画人脈も垣間見える気がしたものだ。小津映画ファンも、見ていて納得の舞台に仕上がっていると思いますよ。
 15分ほどの休憩、準備を挟んで上演された(「犬−」の半券持参で割引)「紙風船」は25年の作で、上演時間約20分。日曜日の午後、自宅で新聞を読む夫(高橋正樹)と編み物をする妻(久々湊恵美)が「結婚して1年の日曜日をどう過ごすか」について話し合い、やがて夢と現実が絡まり、そして…という芝居。短編演劇花盛りの感もしてきた札幌だが、短編演劇賞狙いの関係者は必見だ。短い中に「起承転結」が実に巧みに織り込まれていて、切れ味が鋭い。久々湊が色っぽかった、と、これは褒め言葉です。夫は清水とのWキャスト、妻は中塚有里、畑山洋子とのトリプルキャストでの上演とのこと。
 「犬−」の開演は18日(金)20時、19日(土)13時、16時、19時、20日(日)13時、16時(「紙風船」は「犬−」終了後)。
 こうした日本の既成の戯曲を見つめ直そう、再評価しようという試みは札幌でほかにも動き出していて、コンカリーニョが、日本の優れた戯曲と若い演出家(30歳以下を想定)の出会いによる演劇の新たな可能性を模索しようとする企画「若い演出家と日本の戯曲♯00」として作安部公房、演出重堂元樹の「制服」が3月5(土)、6(日)の両日、上演される。当ブログの2010年12月18日付、演劇公社ライトマンの「制服」とは演出家は同じだが、出演俳優はほとんど違う。これも楽しみだ。今後の開催は不定期。コンカリの小室明子プロデューサーは「我こそは、という若い演出家からの挑戦もお待ちしています」と話している。
 いやあ、札幌の演劇事情がじわりじわりと広くなってきた感じがするなあ。少なくとも作る側の意識に「温故知新」が芽生えてきたのは確かだろう。あとは見る側がどう受け止め、批評し、応援するかだ。
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2011年02月07日

また出ないので仕方なく

 3時間ほど前に「サッポロ・ショー・ケース」について書いたのに、まだ出ていない。

 またデジタル空間のどこかで詰まっているのだろうか、本当に困ったものだ。
 というわけで、押し出すためにこういう意味のない文章を書いている。
 これが出たならば、その前に出るはずなんだと思うけど…。
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サッポロ・ショー・ケース 2011

 初開催の「サッポロ・ショー・ケース(SSC) 札幌短編演劇祭2011」(実行委=委員長はyhsの南参=主催)を2月6日(日)、札幌・コンカリーニョで見た。
 11カンパニーが出場した。以下、プログラム別に短評を−。
 「女流作家」
 nargiles(ナルギレス)「b2 tirthika(サンスクリット語で「外道」の意味らしい)」(脚本・演出稲田桂)。女性3人と、舞台上手に舞台上の音をパソコンで拾う男性音響スタッフ。舞台上には長く張り合わされた半紙による円。その内と外で女性1人はさまざまな音を鳴らし、内側で2人はOLという設定なのか、会話を交わし、やがて一人語りも。全体の印象としては指輪ホテルを連想させたパフォーマンス。結局、女性3人ともが上半身素っ裸になる意味と必然性は分からなかったけど。
 intro「抱けないあの娘」(脚本・演出イトウワカナ)。ラブホテルに入ってシャワーを浴び、バスタオルを巻いた男女(大高一郎、伊藤若菜)。女は男に抱いてほしいのだが、男はかたくなに断る。だって…なんだもん。男が同性愛者であることは芝居の途中で観客にも容易に想像しうるのだが、それがどういうきっかけで女にばれるのかが興味深かった。それがあんなことだとは…。短編演劇らしい短編。
 オノマリコ(神奈川県)×城谷歩(劇団深想逢嘘)「Kyoudai」(脚本オノマ、演出城谷)。オノマが書いて、今はない雑誌「せりふの時代」に掲載された作品。双子のきょうだいの確執、あるいは共鳴をト書きなしの台詞だけで書いた戯曲らしい。初演では女性2人の姉妹版で、今回、実行委員長南参から演出を依頼された城谷は、自分と小林エレキの兄弟として設定。より確執が強調されたつくりになっていた。
 「コメディ」
 星くずロンリネス「パンスファ−大石さん家が大騒ぎ−」(脚本上田龍成、演出熊谷嶺)。大石家は4男3女の大家族。みな頭からパンストを被って生活している。ただ長男だけは網タイツ。「俺、両親の実の子じゃないのでは?」。そのほかにも近親相姦や万引癖、不登校気味の子らもおり、一家は大変。そんな折、父親より年上の男と付き合っている長女(だったと思うが、間違っていたらすみません)と母親が妊娠する−というドタバタもの。
 CAPSULE「クイズ」(脚本・演出武田美穂)。今年10周年のカプセルで、武田が書いた最初の戯曲だという。テレビでクイズ番組を見ていた女性がいつの間にか出演することに。そこには48週王座を守っているクイズ王がいたが、ついに彼を破るときが来た−。
 yhs「やめた。」(脚本・演出南参)。ある会社でリーダーの女性(福地美乃)にバイトの男性が辞めたいと言い出す。別のバイト男女は2人で話があるので、リーダーに席を外してほしいという。もう1人のバイト女性はロッカーにしまってあったTバックのパンティを紛失したので探してほしいと皆に言う。実はすべての元凶はリーダーが露出狂であることにあったのだ。2009年の「教文短編演劇祭」ではリーダーを南参自身が演じ、同性愛者という設定だった。それにしても福地の演技の確かなこと!
 「エンタメ」
 劇団怪獣無法地帯+3ペェ団札幌「父よ、さらば。」(脚本・演出渡邉ヨシヒロ)。父(棚田満)の通夜。長男夫婦(濱道俊介、三宅亜矢)が住む実家に5年間音信不通だった弟(塚本雄介)が戻ってくる。さらに亡夫の妻(伊藤しょうこ)と息子(長流3平)だという親子連れも。彼女曰く、父と自分たちは月の住人で、父が地球観測に行ったときに浮気をしてこの家庭が出来たのだと。だから地球では死んだ今、月へ帰るのだと。と、仏壇から遺体であるはずの父が全身緑のタイツをまとって復活し、妻子とともに月へ帰って行く−という怪獣無法地帯ならではの何でもありの世界。てっきり棚田の作だと思っていたら、渡邉だった。
 ハムプロジェクト「本当の戦いはここからだ〜Trailer〜」(脚本・演出すがの公)。24日(木)〜27日(日)まで、Art-space201D室(中央区南2条西1丁目山口中央ビル5階)で上演する新人公演の予告編。ハムは最近、集団が蠢く芝居づくりに興味がいっているのかもしれない。
 リリカル・バレット「Man-Hole!」(脚本・演出谷口健太郎)。マンホールから落ちた男3人。売れっ子作家(谷口)と営業に忙しいサラリーマン(村上義典)と引きこもりの若者(平田渓一)。それぞれの理由で人生に疲れ切っていた3人は脱出の望みを捨て、いっときはここで楽に死のうかという話にもなるが−やがて光が射す。
 「ユニーク」
 introは前述。
 演劇公社ライトマン「家の庭」(脚本・演出重堂元樹、だと思う)。昨年の「教文短編演劇祭」出場作品。主人が家の芝生を手入れしているところに、隣家の若者たちがキャッチボールをしながら足を踏み入れて、芝生が滅茶苦茶に−。配役は昨年の方が良かった気がするのだが…。
 TBGS.「117」(脚本・演出ミヤザキカヅヒサ)。昨年の「教文短編演劇祭」でタビトという男の生涯を10秒刻み、時空間バラバラに描いて観客の心の中で再構成させる劇作で、その革新的な斬新さから、私は大晦日にブログで発表した「2010アワード」で「マイベスト」に選んだが、それを改訂。ナナコという女の生涯を描いた。タビトの場合にはあった会社や風俗店での様子など「対社会」という「外」への広がりが、今回は主婦ということからか弱くなり、インパクトに欠けた。
 以上、11カンパニー。
 言い出しっぺ南参の頑張りもあって、満員盛況のイベントだった。全プログラムチケット購入者は首からパスをかけて観劇したが、私はそれで「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」を思い出した。「ゆうばり−」も全プログラムチケット購入者はそうするのだ。そうだ、「サッポロ・ショー・ケース」は毎年2月恒例の演劇版の「ゆうばり−」になればいいなと思った。
 ただ今後のための提言もしておく。
 当日配布のパンフレットには、少なくても各カンパニーの演目や作家、演出家名は記載しておいてほしい。できれば出演者名も。
 ホームページには記載してある(私もこの項を書くに当たって参照した)と反論があるかもしれないが、誰もがインターネットを利用する観客ではないことを知ってほしい。それに、手元のパンフに掲載してあることで、例えば役者が誰が誰であるかがすぐに分かり、「次の公演にはあの人に出てもらおうかな」などという「見本市」としての性格もより際立つだろう。
 特筆すべきこと一つ。
 各プログラムの開演時間が予定通りぴったりだったこと(もちろん南参による前説は事前に終了)。開演時間は大劇場での演劇ほどきっちり厳守されていて、小劇場では「予約をなさっている方でまだ見えられない方がおられるので開演を5分(時には10分も)遅らせます」ということがほとんどだ。開演してから遅刻者がごそごそ入ってくるとうるさいだろうという主催者側の配慮もあるのだろう。でも、じゃあ、時間を守ってきちんときている観客はどうなのよ、次の予定も入っているんだぞ、こっちを大切にすべきではないかと私は常々思っている(地下鉄の人身事故など不可抗力による遅れの場合は鑑みる必要は認める)。その点、今回のSSCは見事だった。きっちり定刻に始まり、気持ちが良かった。
 南参は最低3年は継続すると言っている。「教文短編演劇祭」とはまた違う、自由参加の「見本市」的な短編演劇祭として発展することを心から願っている。関係者の方々、お疲れさまでした。
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2011年02月05日

MICCHI2 NO.4

 実験演劇集団「風蝕異人街」プロデュース ダンスコレクション ラボ♯ラボNO.4「MICCHI2」を2月5日(土)、札幌・アトリエ阿呆船で見た。
 もともと三木美智代(風蝕異人街)と布上道代の2人によるダンスプロジェクト。今回はソロ作品四つと群舞作品だった。
 圧巻だったのは、三木の「『海に映った月』〜海女の伝説より(野田秀樹『ザ・ダイバー』より)」。20分を超える長い作品だが、指の先にまで神経が行き届き、狭いスペースを縦横無尽に踊り回って見る者の琴線に触れる。なにより片脚を上げて上下動しても身体の軸がぶれない。感動的だった。
 そして好評のOLシリーズは「バレンタインデー」。OLの石垣通子(三木)と池上信子(布上)が密かに思う人に赤いハート型の箱に入ったチョコレートを渡そうとするが、なかなかうまくは運ばない様子をダンスで表現する。使われる楽曲は、ドリームズ・カム・トゥルーやオフコース、松任谷由実など。結局2人はそれぞれオフコースのコンサートに1人ずつで来ることになってしまうのだが、動きの一つ一つにコーモアが込められていて、これが実に爆笑ものだった。
 ほかに、こしばきこう演出で丹羽希恵が踊った「『水の鏡−ブレイン・トリップ』(江戸川乱歩原作『蟲』(むし)より)も、床に置いた鏡が照らし出す丹羽の表情と、バックの白い壁に映る彼女の影とのコントラストが幻想的で面白かった。
 ダンスはちょっと難しいと思っている人には、このシリーズから見始めるのも良いのではないか。6日(日)は15時開演。
 それにしてもそれにしても風蝕異人街、3月は三島由紀夫の「近代能楽集」(阿呆船)、4月は江戸川乱歩の4作品(阿呆船)、5月は野田秀樹の「ザ・ダイバー」(シアターZOO)、7月は三島の「熱帯樹」と立て続けに公演する。
 そのどれもが、高水準で演じられると思われるのだ。なんとも恐るべし。
posted by Kato at 22:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする