11月28日(日)、札幌市教育文化会館小ホールで開かれた第5回北海道中学生演劇発表大会で、十勝管内清水町立清水中が2年連続の最優秀賞、札幌市立北野台中と北海道登別明日中等教育学校が優秀賞に選ばれた。というか、私は審査員3人(ほかに北海道文化財団コーディーネーターの藤村智子さん、北海道演劇財団専務理事の平田修二さん)の一人として選んだ。審査結果は3人とも同意見で、すんなり決まった。
清水中の劇団クリオネ(指導者佐々木隆徳、代表生徒林聖悟)の作品は「俺たちの甲子園」(作石原哲也=既成、脚色佐々木)。中学時代にバッテリーを組んでいた高校3年のゲン(林)とシゲル(宇都宮彰悟)。ゲンは限界を感じ野球部を辞めてから学校を休みがちで、夜は下宿で友達と麻雀に明け暮れる日々。一方、今も野球部員のシゲルはキャッチャーとしての初のベンチ入りを目指し、夜にも神社前でバットの素振りを繰り返す毎日。進路、友情、そして恋。ともに同じ家(ゲンのいとこ・夕子=佐藤くるみ=の家)に下宿しながらも、微妙に距離を置いた2人の関係を軸に物語は進んでいく。
いやあ、昨年最優秀賞を受賞した「修学旅行」(作畑澤聖悟=既成)に引き続き、感動させられました、たっぷり、存分に、心の底から。
なんといっても、ただ舞台上にいる、存在しているという難しさを軽々と乗り越えている役者たちの素晴らしさ。その大事な点がクリアされているから、フィクション、つくりものから、まさしく「真実」がにじみ出してくるのです。
全身に力が入って前がかりになって精一杯熱演するという、いわゆる教育としての「学校演劇」にありがちなものが一切ないのです。そうした言い方には、学校演劇関係者の方には異論もあるかもしれませんが、この清水中の、「お金を払ってでも見たくなる」ごく自然な演劇としてのレベルの高さは驚くべきことだと私は思います。
ちなみに審査会で平田さんは「(北海道演劇財団主宰劇団TPS=シアタープロジェクトさっぽろ=に)スカウトしたいくらいだなあ」と涙目になりつつ感動しておりました。
そして適材適所の配役の妙。ゲンとシゲルをはじめ、ゲンの母(安曇汐里)、シゲルの父(野田実)もまったくその母、父という感じで、とても中学生には見えません。脱帽しました。札幌では「札幌劇場祭」の真っ最中ですが、その中の一作品としてエントリーしても、ひょっとしたら受賞するのではないかと思いました。私が審査員ならそう一票を投じます。
その他の出場校の作品も良くできていて面白かったし、素晴らしかった。ただ清水中が圧倒的だったのです。
出場した各校のみなさん、お疲れさまでした。そして感動をありがとう!
清水中のみなさん、本当におめでとう!