2010年06月20日

シネマの風景フェスティバル・告知再び

 私も理事を務めるNPO法人「北の映像ミュージアム」推進協議会が、北海道でロケ撮影された映画6本を1週間にわたって上映する「シネマの風景フェスティバル」が26日(土)から7月2日(金)まで、札幌東宝プラザ(中央区南2西5、電話011・231・3388)で行われる。今回は再びこの場でこのフェスを紹介したい。
 このNPOは、東京以外で映像のロケ撮影が最も多い北海道にも、既存の建物を再活用してでも映像のミュージアムを、との趣旨で2001年に任意団体として発足し、03年にNPO法人化した。発足当初から、北海道でロケ撮影された映画の上映会を開いている。今回は団体としての10周年記念のイベント。
 上映作品と日程は以下の通り(初回上映は全日午前11時からで、ゲストトークがある日もある)。
◆26日(土)函館をロケ舞台に輝くヒーローたち
「赤いハンカチ」(1964年、舛田利雄監督、出演・石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明)11時、14時20分、19時20分
「ギターを持った渡り鳥」(1959年、斎藤武市監督、小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠)12時50分、16時10分
ゲストトーク 評論家川本三郎氏「ロケ地函館と裕次郎&旭」18時40分
◆27日(日)札幌をロケ舞台に輝くヒロイン
「白痴」(1951年、黒澤明監督、三船敏郎、原節子、森雅之、久我美子、志村喬)11時、15時
ゲストトーク 映画評論家品田雄吉氏「黒澤明監督と昭和の札幌」14時
◆28日(月)網走をロケ舞台に生まれた力作
「南極料理人」(2009年、堺雅人、生瀬勝久、きたろう)11時、15時20分、18時40分
ゲストトーク 監督沖田修一氏×原作者西村淳氏「ロケ地網走と南極」18時
◆29日(火)小樽をロケ舞台に輝くヒロイン
「Love Letter」(1995年、岩井俊二監督、中山美穂、豊川悦司)11時、13時10分、15時20分、18時30分
解説 喜多義憲・NPO理事「シネマの風景 ノスタルジック小樽」18時
◆30日(水)ランダム上映1
「網走番外地」(1965年、石井輝男監督、高倉健、南原宏治、嵐寛寿郎)11時
「赤いハンカチ」12時50分
「ギターを持った渡り鳥」14時40分
「南極料理人」16時10分
「Love Letter」18時30分
◆7月1日(木)ランダム上映2
「網走番外地」11時
「赤いハンカチ」12時50分
「ギターを持った渡り鳥」14時40分
「Love Letter」16時10分
「南極料理人」18時20分
◆2日(金)網走をロケ舞台に生まれた傑作
「網走番外地」11時、12時48分、14時35分、18時40分
ゲストトーク 作家小檜山博氏「網走刑務所とその歴史」18時
−以上−
同時に、札幌東宝プラザロビーで、懐かしい映画のポスターや昭和の狸小路と映画館を紹介する「シネマの風景展」を開催する。

鑑賞券は1回券(1作品券)が前売り500円(当日600円)、5枚回数券(切り離して他人に売ってもよい)が前売り・当日とも2000円で、劇場窓口、道新プレイガイドで発売中。
問い合わせは札幌東宝プラザかNPO事務局(011・221・5396)へ。
この機会を逃せば、もう映画館では見られないだろう映画もあるはず。みなさんのお越しをお待ちしています。
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2010年06月13日

春の光

 弘前劇場「春の光」(作・演出長谷川孝治)を6月13日(日)、札幌・シアターZOOで見た。見終えた後、なんともいえない、形容しがたい静謐な思いが胸を伝ってくる感動的な芝居だった。
 パンフレットによると、あらすじは−春。結婚式が執り行われる神社、新郎の同僚たち(加藤注・市教育委員会)の控え室。彼らは、一カ月後に映画祭開催を控えている。フィルムの手配、配給会社とのやりとり、会場との調整…。やらなければならないことに追われつつ、式や披露宴を盛り上げてやろうと手伝う同僚たち。仲人を引き受けた男(福士賢治=市教委主事)とその妻(小笠原真理子=主婦)、そして娘(佐藤玲奈=浪人生)も参列している。男には、何か事情があるらしい。新婚旅行、映画、サトウキビ、浮気、式の手順…。控え室で繰り広げられる様々な会話の中から自分以外の誰かを想う気持ちが浮かび上がっていく…。
 1996年初演の劇団の代表作の一つ。
 ネタバレになると言うか、実はチラシには「その中(同僚たち)には、死期を悟っている一人の職員も含まれている。」との記述がある。
 それが仲人を初めて経験する男、その人である。結婚式という晴れがましい舞台と対照にある「死」を悟った一人の男。それを支える妻。父の思い、覚悟をいまは端から想像することしかできないでいる娘。その三人それぞれの思いが静かな台詞と動作で立ち上がってくる見事な芝居だ。
 そしてラストの父と娘の、直接的ではないが、間接的に互いの理解を想像させる言葉のやりとり。娘のわだかまりが溶けていったであろう、安らぎの表情。長谷川孝治ならではの見事な手さばきだ。
 ここ何作か見てきた弘前劇場の中でも一番好きな作品になった。見終えた後、心の中が洗われたように、静かに胸がじーんときた。この観劇感は久しぶり。やはり何度も何度も再演される名作芝居というものは、観客の側が何度見ても新たに発見したり、想像=創造が促されるいいものだし、観客の側の「思いの入り込む余地」が残されているものなのだろう。この充実感をじっくり味わうために、静かに酒を飲みたくなった。
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2010年06月12日

ギリシャ悲劇 バッコスの信女

 実験演劇集団「風蝕異人街」の「現代音楽と仮面劇〜朗読劇『ギリシャ悲劇 バッコスの信女』」(原作エウリピデス、構成・演出こしばきこう、振付演出三木美智代)を6月12日(土)、札幌・アトリエ阿呆船で見た。
 語るバッコスの信女4人(三木、平澤朋美、李ゆうか、宇野早織)、舞うバッコスの信女(布上道代)、奏でるバッコスの信女(abt)とも仮面をつけ、ボロをまとった姿。奏でる信女はどうかよく分からなかったが、ほかの5人は白足袋を履いていた。
 踊りは決して洗練されたものではなく、土俗的と言ってもいい熱情に満ちた躍動感溢れるもの。それが物語にぴったりと合っていた。上演時間1時間の中に、パッションが息づいていた舞台だったと言えるだろう。
 13日(日)は15時と19時の開演。
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2010年06月09日

悲しき天使たち−2010年の三人姉妹−

 TPSの若手役者陣が古今東西の名作に挑む、tps小文字で大作シリーズ「悲しき天使たち−2010年の三人姉妹−」(作アントン・チェーホフ、翻訳神西清、演出・構成宮田圭子)を6月6日(日)、札幌・シアターZOOで見た。今年はチェーホフ生誕150年(本作を書いて110年)。宮田の正当派的な演出で、名作が現代に蘇った。
 モスクワでの生活を夢見て田舎町に暮らすオーリガ(林千賀子)、イリーナ(高子未来)、マーシャ(伊佐治友美子)の三人姉妹。だが、ことはなかなかうまく運ばない。いままた、三人の中の一人がその夢を実現させるべく、ほんの少し前まで至るのだが、あえなく頓挫してしまう−。
 宮田の演出はオーソドックスで実に手堅く、破綻は見あたらない。その分、遊び心には乏しいとも言え、チェーホフのさまざまな演出の芝居を見慣れた観客には物足りなさを感じる向きもあったのではないか。
 宮田が今回の演出にあたってモチーフとした「悲しき天使」(1968年にメアリー・ホプキンという英国人の女性シンガーが歌って世界的に大ヒット)がさまざまなバージョンで芝居の冒頭と幕間、ラストに流れ、これは本作にまさにぴったりの選曲。芝居の情感を的確に伝えていた。
 他の出演者は佐藤健一、木村洋次、齋藤由衣、高橋正樹(客演)、鎌内聡、藤田悟(客演)、滝沢修(同)、原子千穂子、高野大吾(客演)。客演陣の好演も光り、引き締まった芝居に仕上がっていた。
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2010年06月05日

紅玉

 シアター・ラグ・203の50分シアター(実際には65分だった)「紅玉(こうぎょく)」(作・演出村松幹男)を6月5日(土)、札幌・ラグリグラ劇場で見た。肩が凝らずに楽しめる推理劇だ。
 超高級宝石店の展示発表会でジュエリーデザイナーが殺される。果たして犯人は、社長(斉藤わこ)か副社長(柳川友希、湯沢美寿々)か、それとも社員(吉田志帆、久保田さゆり、瀬戸睦代)か。現代のシャーロック・ホームズの異名を取る敏腕私立探偵(田中玲枝)とその夫の警部(村松)が、彼らを集めて一人ひとりから事情聴取を始める−。
 観客に事件現場の会場配置図が事前に配られ、劇の進行、登場人物の台詞の具合から、観客も真犯人を推理できるという趣向。でも、本当に当てた人はいるんだろうか。まあ、肩の凝らない推理劇ということで、深い詮索はしないでおこう。
 6日(日)は14時半開演。
posted by Kato at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シネマの風景フェスティバル

 私も理事を務めるNPO法人「北の映像ミュージアム」推進協議会が、北海道でロケ撮影された映画6本を1週間にわたって上映する「シネマの風景フェスティバル」が26日(土)から7月2日(金)まで、札幌東宝プラザ(中央区南2西5、電話011・231・3388)で行われる。今回はこの場でこのフェスを紹介したい。
 このNPOは、東京以外で映像のロケ撮影が最も多い北海道にも、既存の建物を再活用してでも映像のミュージアムを、との趣旨で2001年に任意団体として発足し、03年にNPO法人化した。発足当初から、北海道でロケ撮影された映画の上映会を開いている。今回は団体としての10周年記念のイベント。
 上映作品と日程は以下の通り(初回上映は全日午前11時からで、ゲストトークがある日もある)。
◆26日(土)函館をロケ舞台に輝くヒーローたち
「赤いハンカチ」(1964年、舛田利雄監督、出演・石原裕次郎、浅丘ルリ子、二谷英明)11時、14時20分、19時20分
「ギターを持った渡り鳥」(1959年、斎藤武市監督、小林旭、浅丘ルリ子、宍戸錠)12時50分、16時10分
ゲストトーク 評論家川本三郎氏「ロケ地函館と裕次郎&旭」18時40分
◆27日(日)札幌をロケ舞台に輝くヒロイン
「白痴」(1951年、黒澤明監督、三船敏郎、原節子、森雅之、久我美子、志村喬)11時、15時
ゲストトーク 映画評論家品田雄吉氏「黒澤明監督と昭和の札幌」14時
◆28日(月)網走をロケ舞台に生まれた力作
「南極料理人」(2009年、堺雅人、生瀬勝久、きたろう)11時、15時20分、18時40分
ゲストトーク 監督沖田修一氏×原作者西村淳氏「ロケ地網走と南極」18時
◆29日(火)小樽をロケ舞台に輝くヒロイン
「Love Letter」(1995年、岩井俊二監督、中山美穂、豊川悦司)11時、13時10分、15時20分、18時30分
解説 喜多義憲・NPO理事「シネマの風景 ノスタルジック小樽」18時
◆30日(水)ランダム上映1
「網走番外地」(1965年、石井輝男監督、高倉健、南原宏治、嵐寛寿郎)11時
「赤いハンカチ」12時50分
「ギターを持った渡り鳥」14時40分
「南極料理人」16時10分
「Love Letter」18時30分
◆7月1日(木)ランダム上映2
「網走番外地」11時
「赤いハンカチ」12時50分
「ギターを持った渡り鳥」14時40分
「Love Letter」16時10分
「南極料理人」18時20分
◆2日(金)網走をロケ舞台に生まれた傑作
「網走番外地」11時、12時48分、14時35分、18時40分
ゲストトーク 作家小檜山博氏「網走刑務所とその歴史」18時
−以上−
同時に、札幌東宝プラザロビーで、懐かしい映画のポスターや昭和の狸小路と映画館を紹介する「シネマの風景展」を開催する。

鑑賞券は1回券(1作品券)が前売り500円(当日600円)、5枚回数券(切り離して他人に売ってもよい)が前売り・当日とも2000円で、劇場窓口、道新プレイガイドで発売中。
問い合わせは札幌東宝プラザかNPO事務局(011・221・5396)へ。
この機会を逃せば、もう映画館では見られないだろう映画もあるはず。みなさんのお越しをお待ちしています。
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鬼火

 詩劇鬼火上演実行委員会の詩劇「鬼火−龍馬は死なずU」(作原子修、演出橋口幸絵、振付井川真裕美、作曲・演奏福井岳郎)を6月5日(土)、札幌・コンカリーニョで見た。今年、NHKの大河ドラマの影響もあって大流行の坂本龍馬を描いた芝居だが、彼の魅力もなるほどと思わせる良い出来だった。
 舞台は福井ら3人の笛や太鼓、ピアノの生演奏と斎藤和子の語りに合わせて、まいびと(林英貴)が舞い踊る場面から始まる。そして暗殺され、亡霊となった龍馬(亀井健)が登場。彼は母幸(こう=佐藤亜紀子)の声に導かれるように、一人生きる妻お龍(おりょう=堤沙織)や、その他幕末の志士らの生きようを天空から見下ろす−。
 コンカリーニョの内壁の黒に、舞台と幕の白のコントラストが鮮やかな設え。そこに「ええじゃないか」と連呼して熱狂的に踊る民衆たちが舞台狭しと登場する迫力のある場面もある。中盤ちょっと中だるみの感もしたが、ダイナミックな踊りがそれを補って余りある、橋口ならではの入魂の演出。それにしても橋口は、天井からものを降らせるのが好きなんだなあ。
 詩人原子の言葉が、自ら主宰する劇団ANDでも詩的な言葉を吐く亀井が口にすると、実にポエジーを感じさせる。全体を通して「人を愛し、新しい日本に未来を託し世界を目指した青年」(パンフレットの実行委・萱場利通委員長の言葉より)龍馬の魅力が1時間10分という短い上映時間に凝縮され、あふれ出る舞台。原子の言葉はそのさらに先を見通し、「大量虐殺」などの起きる現代をも鋭く照射しているようだ。
 ラストは龍馬と、「ようやく」亡くなって再会できたお龍の二人の愛の交歓。しっとりと心に染みる場面だ。
 6日(日)は14時と18時の開演。
 
 前回の「もくもくのいとま」から芝居を見ておらず、2週間ぶりの更新となった。この間、世界的な舞踏家大野一雄先生が103歳で大往生された。大野先生の踊りは東京の大学時代から見ていて、私をこの舞台芸術の魅力に引き込んだ最大の功労者の一人でもあった。またいつかこのブログで思い出を書くこともあるだろう。まずは冥福を心から祈りたい。大野先生、ありがとうございました。
posted by Kato at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする