2010年01月24日

緑色の犀

 実験演劇集団「風蝕異人街」第40回公演・北方舞踏結社Kamora「緑色の犀〜イヨネスコ「犀」より〜」(創作三木美智代、監修こしばきこう)は1月24日(日)、同集団の本拠地である札幌・アトリエ阿呆船で見た。
 作品解説によると、1950〜60年代、不条理演劇の旗手として活躍したイヨネスコの「犀」は、ある日突然、次々と犀に変身していく人間たちの滑稽さ、グロテスクさを通して、社会が一つの方向へ押し流されてゆく不可解さと恐怖を描いている。犀とはファシズム(ヒトラー)の象徴で、それに対して人々がいかに対処したかということをテーマにしている、という。
 キャストはMIKI(三木)、UUNO、AARAの女性3人。
 三木による「犀」の戯曲の朗読に始まり、他の二人の群舞、それから三木(と他の二人)の入魂の踊りが繰り広げられる。三木の踊りは流されてゆくことの恐ろしさが如実に表現されていたように思う。
 ただ、上演中、会場には音楽がほとんど間断なく流されており(時にはヒトラーの演説も)、踊りが音楽に流されていた、影響を受けていた、という皮肉な感じも印象として受けた(あるいは確信的だろうか?)。もし、確信的でなかったとすれば、踊りはもっと音楽から自立していてもよかったのではないか。静寂の中で、それでも押し流されていくという表現が、より立ち上がっていてもよかったのではないか。私はダンスなどには語るべき言葉をあまり持たないが、あえて言わせていただくとすれば、そう思った。
 それから、この作品はもともとは三木のソロ作品だったようで、それがどんなものだったのかも知りたくなった。
posted by Kato at 21:52| Comment(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

コーヒー入門

 前項で、酔って転んで頭を切って9針縫った話を書いたら、思いのほか多くの方が「大丈夫ですか」などと心配の声をかけてくださった。中には遠方からわざわざメールを送ってくださる方もいた。
 大丈夫です、私は。おそらく比較的きれいに直線的にスパッと切れたのではないかな。明日25日(月)には抜糸します。後遺症が残るかどうかは分からないけれど、今のところは大丈夫、みたいです。
 ただ、糸のところがなんだかかゆいのが目下の悩み。かさぶたとか、どうなるんだろう?というのもささやかな関心事ではある。
 というわけで、劇団東京乾電池の「コーヒー入門」(作加藤一浩=私とは何ら関係ありません、演出柄本明)を1月21日(木)、札幌・シアターZOOで見た。
 湖にほど近い郊外の森に囲まれた一戸建て。ここに住むのは、30数年サラリーマンとして働いてきてリストラされた失業中の夫(柄本)としっかり者の妻(上原奈美)、それにどこか浮世離れした(ヒッピー風)元小学校校長(あさひ7オユキ)と彼の小学校の児童だった派手系の女性(中村真綾)という、40は歳の離れた夫婦。そう、二組の夫婦が悪徳不動産業者のせいで同じ一戸建てに、ダブルブッキングして住んでいるのだ。
 題名の「コーヒー入門」とは、元校長がコーヒーを入れながら、その入れ方についてやたら蘊蓄を並べ立てたがるところからきており、物語の設定同様、この二組の夫婦がけったいというか、不思議な付き合いをする、不条理な一日を描いた芝居だ。「不条理演劇」の一種とも言えるだろう。
 そこで、柄本、あさひ7オユキの演技は自然で流れるようだったのだが、女優二人がどこか不条理演劇を意識してしまっているようで、ぎこちなさを感じてしまった。全体的には面白く、何度も笑いを誘われたが、やはり不条理演劇の難しさをも思わせられたのだ。
 それにしても東京乾電池の人気というか、柄本明の人気たるやすごいな。前売り完売、当日券なしというのが何ステージかあったらしい。観客も若い人から年配者まで切れ目なく、その大入りの観客の前で柄本は独特の切れ味鋭い演技を披露した。
posted by Kato at 20:58| Comment(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年01月18日

2010年もよろしく

遅ればせながら、本当に遅ればせながら、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 本当は元日にtpsの「椅子」を札幌・シアターZOOで見て、観劇初めとしたかったのですが、WOWOWで松本清張原作の映画「砂の器」(元日から、暗い)を見ていたら外出する気がしなくなって、寝正月を決め込んでいました。
 それで観劇初めは1月16日(土)、シアターZOO寄席でした(芝居じゃないけど)。桂枝光・三遊亭竜楽二人会。トリの竜楽師匠による「文七元結(ぶんしちもっとい)」は人情噺の神髄。良かったあ。
 と、ここまではよいのですが、居酒屋での打ち上げの後、自宅そばのバーで飲んで、酔っぱらって家に帰ったら転んで頭を切って、救急病院で9針縫う怪我。新年早々縁起でもないことになってしまいました(おかげで17日の寄席二日目は行けずじまい)。
 ここは心根を入れ替えてちゃんとやらなければと、反省している次第です。
 ともかく2010年はどんな芝居と出会えるのか、楽しみにしています。
posted by Kato at 20:57| Comment(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする