2008年09月30日

キカヌクスリ

演劇ユニット イナダDX「キカヌクスリ」(作・演出イナダ)は9月6日、札幌・コンカリーニョ。以前上演された、女性のダメダメ人生を描いた「キククスリ」の改編版だ。
 32歳、独身の女性フリーライター(山村素絵)がある朝目覚めると、隣に見知らぬ中年男性(武田晋)が寝ていたことから起こるヒューマンコメディー。
 数多くの人物が登場するのだが、その人の出し入れのうまさには感心する。とてもスムーズだし、自然。物語の語り口も、過去と現在の往来も、至って自然で心にすーっと入ってくる。イナダ一流の佳作と言えよう。
posted by Kato at 21:24| Comment(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

白い木

シアター・ラグ・203の水曜劇「白い木」(作・演出村松幹男)は9月3日、札幌・ラグリグラ劇場で。
 巨大な白い木の下に座る男(村松)。やがてやって来る女(斉藤わこ)。女は男に「私を知らない」と尋ね、男は「心当たりがない」(確かこんな感じの返答)と答える。
 と思うと、医療施設で男の治療に当たる女。また、警察署で男を取り調べる女。
 さまざまな場面がぐるぐると渦を巻くようにつながっていく。果たして男の、そして女の正体は、という頭の中ぐるぐるストーリー。
 話題はなんといっても、90年代に活動したデパートメントシアター・アレフの中心役者の共演だろう。斉藤も村松も、当時、主役を張っていたのだ(斉藤はアレフ代表、故萬年俊明の夫人)。彼ら二人が円熟味を増しての、待ってましたの共演である。
 見れば見るほど、スルメを噛むように味わいが出てくる作品である。10月も水曜午後8時から、澄川の劇場で上演しているので、お見逃しなく。
posted by Kato at 20:59| Comment(0) | 劇評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

三月の5日間

 東京の演劇ユニット、チェルフィッチュの「三月の5日間」(作・演出岡田利規)は8月24日、札幌・コンカリーニョで。
 2003年3月のイラク戦争開始時に東京で若い男女が出会い、ラブホテルで5日間、セックスに明け暮れる姿を、さまざまな話者が奇態な身ぶり手ぶりと冗漫な若者言葉で表現する、という奇抜な芝居で、岡田の岸田戯曲賞受賞作。
 まさかこれが札幌で見られるとは思わなかったので幸いだった。
 見ているうちに、なぜか、日常使っている、使われている言葉が新鮮な響きを持って伝わってきた。そして3月の5日間の様子が、あまりエロティックではない情景として頭の中に浮かんできた。
 私が生涯のマイベストとする太田省吾作・演出、転形劇場の沈黙劇「水の駅」とは一八〇度違う作劇だが、現代を巧妙に映し出していると言えるのだろう。
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遊戯祭08

復活後3回目の「遊戯祭08〜太宰とあそぼう」が9月20日から23日まで、札幌・コンカリーニョとターミナルプラザことにパトスで開かれた。一昨年「近松門左衛門」、昨年「中島みゆき」だったテーマは「太宰治」。札幌内外の4劇団が競った。
 私はパトスで21日に劇団七転八起(後志管内倶知安町)の「ボンクラNo.3〜だって仕方ないだろ。斜陽なんだから〜」(作・演出わたなべたけし)、22日に演劇公社ライトマンの「パンドラの匣(はこ)」(脚本構成・演出じゅうどうげんき)、23日にコンカリーニョでintro「5月1日」(脚本と演出イトウワカナ)、劇団SKグループ「人間失格失格」(監修・脚本・演出すがの公、原案彦素由幸、古崎瑛美、松下綾華、明逸人、山崎未樹)を見た。
 七転八起の題材は「斜陽」。特撮の戦隊ヒーローたちが再び活動しようとしたところ、さまざまな障害にぶち当たるという内容だったが、どこかテンション下がり目で、ラストも尻切れトンボの印象。ライトマンは題名そのままの原作を忠実になぞった作劇だったが、それならば原作を読んだ方が想像力が喚起されるのではなかろうか。出だしの抽象化された表現部分は期待を抱かせたのだが。introの題材は「女生徒」。これも抽象化された表現方法に面白いものを感じさせたが、ちょっと間延びした感じ。もう少し短く刈り取って表現されても良かったのではないか。SKGの題材は「人間失格」。原作からは一番離れていた感じで、演劇的企みもあったが、物語に難がなしとは言えない。
 結局、私はSKGに一票投じたのだが、審査の結果、introとSKGが24票の同数で並び、イトウとすがのがじゃんけんの結果、introが来年度のコンカリーニョの使用権(5日間)を獲得した。
 遊戯祭は来年は休むそうで、別のお祭り企画が進行中だそう。楽しみに待っていよう。
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